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September 4, 2005
6色のリンゴマーク
あれは確か90年代の終わり頃だったと思う。当時の市場に投入されたほとんどのMacに関心を向けるコンシューマーなどいなくて、Appleは本当に破綻の一歩手前で経営難に喘いでいた。
そこに突如、姿を現したのはAppleコンピュータの創立者で、一度は会社を追われたスティーブ・ジョブスだ。ジョブスはApple再建のために、給料を月に1ドルしか受け取らず、その後、コンシューマー向けの安価なiMacやiPodを次々と発表し、まったく奇跡的な手腕でAppleを建て直してしまった。
で、ジョブスが戻ってきたときに、長年のAppleのトレードマークであった6色のリンゴを惜しげもなく廃止してしまった。以来、Appleのマークにはモノクロやグラファイト、メタリックといったシックな色遣いで統一されている。
その頃を振り返ると、「Appleが6色じゃなくなるなんて!」といった情緒的な反応を示すMacユーザー達をずいぶんと目にしたが、俺はこれで正解だったんじゃないかと思っている。
私見を述べれば、Appleの6色のリンゴマークは確かに良くできているけれど、あまりにも印象が70年代のレトロ・ヘル的で、その昔、自宅のガレージで手作りのマイコンなんかを組み立てていた、ハッカーと呼ばれる人たちのイメージが強すぎる。ジョブスの意図は、まず、そういうところを払拭して、ソフィスティケートしたかったのだろう。
話は前後するが、当初、文字通り自宅のガレージでAppleを始めた若かりしジョブスは、いわゆるコンピュータの専門家といった人物ではなかった。むしろ、優秀なエンジニアを捕まえては自身のヴィジョンを熱っぽく語り、ユニークな試作品なんかを作らせる方がずっと得意なタイプの経営者だ。つまり、彼の持つプロデューサー的な資質が、Appleという希有な企業を生み出したわけだ。

